今、VPNって何?をもっと深く理解するタイミングです。プライバシーを守る権利はみんなのものだから。

Shanan Carney 12 10 2017

VPN とは何ですか? 必要になるのは自宅で仕事をしている場合だけですか? 先日、アメリカで成立したインターネットサービスプロバイダーが契約者情報を販売できるといった法案とどんな関連があるのでしょうか? アバストがお答えします。

米国ではインターネットサービスプロバイダーが、事前の承諾なしに顧客情報を販売できるか否かをめぐり、さまざまな誇大とも受け取れる報道がおこなわれ、その結果、多くの人々を混乱に陥れました。

このニュースを知ったアメリカ市民の中には、使っているノートブック PC を今すぐパタンと閉じ、二度と開けられないようにしっかりと鍵をかけ、近くの崖から投げ捨ててしまいたいという衝動に駆られた人々もいたかもしれません。 (結局のところ、私たち全員が脅威を検出してコードを書くことができる天才というわけではありませんから)。そして、アメリカ以外に住む多くの人々も、「明日は我が身?」と、自国のニュースを検索し始めたかもしれません。

結論から申し上げるならば、みなさんがアバストで働くわたしたちと同様に、普通に生活をおくる、ある国の善良な市民なのであれば、決してこのよう報道があったとしても恐れることはありません。

下記に、実際は世界で何が起きていて、またどのような対処が可能かについて説明をさせていただきます。最後には、プライバシーを守るソリューション (VPN 接続など) を選ぶ場合に活用できる 5 つのガイドラインをご紹介させていただきます。

また、様々な問題の分かりやすい解説に重点を置いたいくつかの記事を近日中に投稿する予定です。またすでにアバストブログに掲載されている「ウェブ閲覧のプライバシーを ISP から保護するのは VPN を用いれば簡単」についての記事もぜひお読みください。

まずは … アメリカで何が起こったか?

インターネット サービス プロバイダー (ISP) はこれまで常に Facebook や Google などのインターネット エンタテインメント企業と同じ法律で規制されてきました。これらの企業はユーザーがオンラインで行う活動に関するデータを、広告業者に販売することを含め、自分の思いどおりに使用できます。

オバマ政権は ISP を電力会社や水道会社などの公共サービス企業として分類しなおす法案を 2015 年に作成し、2017 年 12 月には施行する予定でした。これによって、現在より厳しいプライバシー管理が ISP に義務付けられるはずでした。多くの人々がこれを望みましたが、行動マーケティングの狡猾さが増していることを考えると当然の対応といえるでしょう。両者が取り返しがつかないほど腐敗してしまう前に、オバマ政権はインターネットの中立性と個人のプライバシー権を保護したいと考えたのです。

ところが、トランプ政権は先日、これとは異なる法案に署名し、成立させました。この法律は機先を制してオバマ時代の法案を無効にするもので、予防的な取り締まり措置が事実上排除されてしまいました。その結果、ウェブ上でのユーザーの存在、すなわちユーザーがどこを訪れ、何をおこない、何を見て、誰から何を購入するかというデータを企業が自由に確認し、調べて、各ユーザーの行動に合わせたマーケティングを個別に実施するために購入、販売、使用できるようになります。

すべての人がこれに問題がないと考えているわけではありません。それどころか、多くの人は反対しています。いくつかの州はすでに対応策を打ち出して、より強力なインターネット プライバシー規制を実施しようとしており、規制緩和とそれに関連するネットの中立性への脅威に対する一般の人々の反対意見もかなり強まっています。しかし、次の政権がトランプ大統領の決定を覆すまで待つ必要はありません。ご自分のプライバシーを守る権利を行使する力は現在、ご自分の手中にあります。

VPN とは何か、そして法律にできないことを本当に実現できるのか?

インターネットで自分自身を保護するための最善のソリューションは、仮想プライベート ネットワーク (VPN) です。ターゲットを絞った広告と、ユーザーがクリックまたはタップするたびにデータを収集するマーケターからユーザーを隠すだけでなく、ハッカーやその他のサイバー犯罪者からユーザーを安全に守ります。

VPN 経由でインターネットにサインインした場合、ウェブ上でどこでも好きな場所を訪問できることに変わりはありませんが、通常と異なるのは匿名になれることです。VPN はあらゆる訪問先へ繋がる保護「トンネル」を提供します。VPN 自体の IP アドレスによって、ユーザーの行動や訪問先を知ろうとしている可能性のある他人の目からユーザーの実際の IP アドレスが仮想的に隠されます。

VPN のことをお使いのデバイスと VPN サーバーとの間の安全な回線だとお考えください。ユーザーのあらゆるインターネット活動は、その安全でプライバシーが守られたチャンネルで伝送され、訪問先で接する相手に開示されるのは VPN サーバーの「顔」のみとなります。ユーザーが行動マーケティングに悩まされてはいなくても、町のカフェなどの公共の場でノートブック パソコンやスマートフォンを使って作業する方であれば、VPN は役に立ちます。公共 Wi-Fi の開かれた電波に身をさらす代わりに、ユーザー自身のプライベートなサイバー ハイウェイを通ってあらゆる仮想の目的地に到達できます。

VPN を選択する際に心得ておくべきこと

現在、VPN は非常に需要が高まっているため、市場では文字どおり数百種類のサービスが販売されており、セキュリティとユーザビリティのレベルもまちまちです。ご自分のオンライン生活にあまり干渉せずに最大限の保護を提供するサービスを見つける際に心得ておくべき 5 つの事柄についてご説明します。

  1. VPN によっては、IP アドレスの隠ぺいとトラフィックの暗号化の両方を実施するものもあれば、ユーザーの IP アドレスのみを隠すものもあります。必ず両方を隠すものを選択してください。
  2. インターネット活動が VPN サーバーを経由したルート、すなわち直接的ではないルートで伝送されるため、接続速度の低下が発生することがあります。デバイスのパフォーマンスに及ぼす影響ができる限り小さいものを選択してください。無料トライアルを提供しているものもあるため、活用してください。
  3. 選択する VPN がお使いのデスクトップ / ノートブック PC とモバイルの両方のプラットフォームまたはオペレーティング システムと互換性があることを確認してください。
  4. あまりにも大幅な割引には注意してください。ある会社がこの種のサービスを無料 (無料トライアルであれば、それは良いものですが、そうではなく永遠に無料) で提供している場合、それは VPN の衣をまとった「狼」である可能性が高いです。上述のとおり、VPN は現在、非常に価値が高まっているため、利益だけを得ようとする誠意のない会社がこのサービスを手掛けていることも考えられます。
  5. VPN とプロキシを取り違えないでください。プロキシはオンラインでの匿名性をユーザーに提供しますが、インターネット上での追跡からはユーザーを保護しません。ユーザーとユーザーの活動を両方隠すことができるのは VPN のみです。

VPN と、ネットの中立性、サイバー プライバシー、およびオンラインの権利に関するこのシリーズの次の記事を楽しみにお待ちください。また、アバストでは「アバスト セキュアラインVPN」を提供させていただいています。ご興味のある方は、アバストホームページから、アバスト セキュアラインVPNをご覧ください。

画像: Lesly B. Juarez

--> -->