オンラインで過ごす時間が長く、インターネットを使い慣れているミレニアル世代。自信満々でインターネットを利用していることが、オンライン詐欺に引っかかりやすくなっている原因かもしれません。
「オンライン詐欺の被害者」を想像してみてください。どのような人が思い浮かびますか?テクニカルサポート詐欺に騙され、2万ドルを奪われたフィリスさんのような、おばあちゃんを想像したかもしれません。
シニア層は詐欺に狙われやすいと思うかもしれませんが、アバストが行った調査によると、オンライン詐欺に最も引っかかりやすいのは、実は20代後半~40代前半の、いわゆるミレニアル世代であることが分かりました。
米国で行われたこの調査では、銀行口座情報を怪しいウェブサイトに記入してしまったり、恋愛詐欺の標的になってしまったり、オンライン詐欺に遭ったりしたことがあるか、1,000人を対象に尋ねました。「1回以上オンライン詐欺に遭ったことがある」と回答した人を年齢別に見ると、以下のような結果になりました。
18歳~24歳 |
25歳~34歳 |
35歳~44歳 |
45歳~54歳 |
55歳以上 |
32% |
49% |
41% |
33% |
24% |
ほかの年齢層に比べて、ミレニアル世代が最も、詐欺に引っかかったことがあることがわかります。一方、詐欺に引っかかる可能性が最も低いのは55歳以上でした。
ミレニアル世代は初代デジタル・ネイティブ世代で、若いミレニアルは、インターネットとともに成長した最初の世代です。この世代の人々は、X世代やベビーブーマーよりもインターネットに精通していると一般的に考えられています。また、年上の人より、オンラインで過ごす時間も長い傾向にあります。
ミレニアル世代の多くは、1990年代後半から2000年代前後に初めてインターネットを使い始めたかと思います。ソーシャルメディアは、主にミレニアル世代によって発明され、同世代の間で普及しました。そして、過去20年に渡り、主にPCを使って働く従業員「ナレッジワーカー」(知識労働者)が爆発的に増加しました。
一方、ベビーブーマーやX世代は、インターネットを利用しながら育ったわけではありません。全米にインターネットが普及し始めたころ、X世代はすでに大学生だったでしょう。ベビーブーマーの多くは、白黒のテレビを覚えているかと思います。これらの世代の人々は、ミレニアル世代と比べて、人生の中でオンラインで過ごした時間は大幅に少ないでしょう。
オンラインで過ごす時間が長いほど、当然、詐欺に遭う確率も高くなります。そして、ミレニアル世代は子どもの頃からインターネットを利用し、使い慣れているだけに、上の世代に比べてインターネットを信頼してしまうのでしょう。
もちろん問題は、詐欺師がソーシャル・エンジニアリングを利用し、詐欺の手法を常に進化させていることです。そんな中ミレニアル世代は、自信満々でインターネットを利用し、オンライン詐欺に引っかかりやすくなっているのかもしれません。
ミレニアル世代よりさらに若いZ世代は、インターネットのない世界を知りません。それどころか、スマートフォンのない時代を覚えていない人もいます。では、なぜミレニアル世代のように詐欺に引っかからないのでしょう?
理由として、人生の大半をインターネットがある環境で過ごしているにもかかわらず、まだオンライン歴が浅いことが考えられます。オンラインで過ごす時間が長くなるほど、詐欺師がSNSやメッセージアプリなどを通じてあなたに接触しようとする可能性が高くなります。Z世代も、年齢が上がるにつれて詐欺に騙される人が増えてくると考えられます。
一方、Z世代に詐欺に騙される人が少ないことは、オンラインで遭遇するリスクに関する若年層への教育が改善していることを示しているのかもしれません。Z世代は、詐欺被害に遭ったことがある人が少ないまま年齢を重ねていく可能性もあります。
年齢に関係なく、詐欺の被害に遭ったことがある人は、次のことを覚えておいてください。詐欺師の仕事は、あなたを騙すことです。つまり、あなたのお金を騙し取るための巧妙な手段を常に考え出しているのです。どのような場面にリスクが潜んでいるか理解し、セキュリティ対策を取り、安全にインターネットを利用しましょう。また、オンライン詐欺の被害に遭ってしまった場合は、消費者ホットライン(電話番号:188)に相談しましょう。