フィリスさん(90歳)は「あなたのPCに問題があります」という内容の電話を受けた際、「すぐに何とかしなければ」と思いました。電話の向こうの相手は、「有料ですが、お手伝いできます」と言いました。一人暮らしのフィリスさんは、この声を信用して、すぐに銀行に行き、修理代を送金しました。
フィリスさんは次のように述べています。「電話口の人は、パソコンの問題についてほかの人に電話で相談すると、詐欺師に盗聴される可能性がある、と言っていました。その人は振込情報を述べ、私は電話を切ったあと、すぐに自宅近くの銀行に行きました。」
残念なことに、これは「テクニカルサポート詐欺」だったのです。サイバー犯罪者は、電話やSMS、メール、ポップアップウィンドウなどを使い、デバイスに問題があるとユーザーを信じ込ませ、お金を盗みます。フィリスさんの場合、詐欺師は銀行口座にアクセスでき、2万米ドルを盗むことができました。
サイバー犯罪者はこのような詐欺を通して、被害者のPCにリモートアクセスしたり、多額な「修理代」を送金させたりします。また多くの場合、銀行、病院、ソフトウェア企業など、よく知られている組織のスタッフを装い、被害者とすぐに信頼関係を築こうとします(アバストを装った詐欺師も報告されています)。
フィリスさんは、次のように述べています。「詐欺だと気づいたとき、騙されてしまったことに対する恥ずかしさでいっぱいでした。このような被害を受けたことがあるのは私だけではない、ということを理解するまでに、かなり時間がかかりました。今、私ができることは、周りに注意喚起を行い、このような目に遭わないようにする手助けになればと願うだけです。」
アバストがYouGovと共同で行った2021年の調査によると、日本の65歳以上の27%が、詐欺師と思われる人から電話が来たことがあると回答しており、全年齢の平均(20%)を上回っています。またアメリカの連邦捜査局(FBI)によると、2020年、テクニカルサポート詐欺の被害者の3人に2人(66%)は60歳以上で、被害総額は1億1600万米ドル以上にのぼります。この年齢層が狙われている理由として、サイバー犯罪者が、シニア層の方が若年層より信頼を得やすく、経済的に安定していると考えているからでしょう。
このような詐欺からご自身や家族を守るために、まず、不審な電話はすぐに切りましょう。正規のメーカーやソフトウェア会社が特別な理由なくテクニカルサポートに関する電話をかけてくることはありません。
知らない人にデバイスや銀行口座へのアクセスを許可してしまった場合は、すぐに銀行やクレジットカード会社に連絡し、事情を伝えて、支払いをストップできるか確認しましょう。また、デバイスのメーカーに連絡し、あなたのデバイスにウイルスや犯罪者が仕込んだソフトウェアが残っていないかもチェックしましょう。公式の連絡先は、信頼できる人から教えてもらうか、自分でサポートページを探して入手してください。知らない人から送られてきた電話番号にかけたり、リンクをクリックしたりしないようにしましょう。
アバストは National Council on Aging (NCOA) と協力し、テクニカルサポート詐欺などの脅威から大切なご家族を守る支援を行っています。フィリスさんのストーリーに関する詳細は、以下の動画をご覧ください(動画はYouTubeでもご覧いただけます)。