「広告ブロッカー」って何?

広告ブロッカーは、私たちのプライバシー保護と快適なオンライン体験において重要な役割を果たしています。

広告ブロッカーは広告をブロックするわけではありません。厳密には、ブラウザにコンテンツをダウンロードするウェブリクエストをブロックしています。つまり、広告ブロッカーはブラウザ上で広告がダウンロードされるのを阻止し、ウェブページの読み込みの高速化や、より良いブラウザ体験の提供をサポートしてくれています。

参考:広告ブロックカーって必要?

広告ブロッカーの仕組みは?

広告ブロッカーの技術は、フィルターリストと呼ばれるシンプルなリストを利用して、ユーザーが訪れたウェブページ上で非表示するものと表示にするものを決めています。フィルターリストは、URLを「allowlist(許可リスト)」または 「blocklist(ブロックリスト)」のいずれかに分類した非常にシンプルなリストです。

ユーザーがウェブサイトを訪問すると、広告ブロッカーはそのウェブサイトがフィルターリストに含まれているかを確認します。リストに含まれている場合、外部コンテンツへのリクエストはブロックされ、ウェブページに広告はダウンロードされません。つまり、広告ブロッカーの技術は、訪問しているウェブページ上で何が表示されるべきか、または表示されないべきかを決定するフィルターリストで成り立っています。

フィルターリストは通常、広告ブロッカーの開発元や広告会社とは関係のない第三者のコミュニティによって管理されています。

フィルターリストの例

  • EasyList:英語の広告URLが集約されている巨大なブロックリストです。このリストは、ウェブサイトの一部ではない画像やデザイン、ポップアップ広告・バナー、画面の一部を覆うサウンド付き動画の自動再生、奇妙なトラッキングなど、ウェブページに関連していない不要なコンテンツを非表示にすることを目的としています。
    • このリストはコミュニティによって維持されており、偏りはありません。
    • 時々、通常の広告ブロッカー技術では阻止できない広告コンテンツがウェブサイト上にプリロードされていることがあります。このような場合でも、EasyListは広告ブロッカーにそのコンテンツを非表示にするように指示します。
  • EasyPrivacy list:EasyListとほぼ同様ですが、こちらは非英語版のウェブサイトに対応しています。さらに、いくつかのSNSにおいてはボタンや、ページ内ポップアップ(例:Facebookのスポンサーコンテンツなど)もブロックします。
  • Acceptable Ads Standardsフィルターリスト:このリストはallowlistであり、広告ブロッカーユーザーからのフィードバックに基づいて開発されました。Adblock Plusという会社が管理し、スポンサーしています。ユーザーのブラウジング体験向上・最適化する広告制作を目的としています。
    • Acceptable Ads(受け入れ可能な広告)のリストは広告ブロッカーの拡張機能をインストールする際にデフォルトで有効になっています。
  • ローカルリスト:ブラウザの設定ページで特定のURLを追加するか、広告ブロッカーアプリ内で許可することで作成されるallowlistです。
  • その他のカスタムリスト:たとえば、Avast Partner allowlistでは、ウェブサイトを閲覧している間に表示されるコンテンツを検索できます。これは、検索プロバイダ(Google、Bing、Yahooなど)やオンラインショッピング(Amazon、Facebook Marketplaceなど)を使用しているときの検索結果などです。

広告はどのように使用されているのか?

企業はユーザーに自社の製品を紹介し、売上や収益の増加につなげるために、マーケティング活動の一手段として広告を使用しています。広告は、製品やサービスの認知度を高めることができ、マーケティングのさまざまな段階で異なる役割を果たしています。

広告がなければ、私たちは好きなブランドや製品を購入したり、オンデマンドサービスにアクセスしたり、憧れの休暇を実現することができないかもしれません。

広告のメリットは?

広告は売り手と消費者の両方に利益をもたらします。企業は広告を介して自社の製品を促進することができます。消費者は、製品・サービスの割引情報や購買決定に必要な情報にアクセスすることができます。

では、なぜ広告が問題視されているのか?

広告がネガティブなものとして認識されている原因はいくつかあります。

まず第一に、広告は現実の誇張になっています。

第二に、広告は消費者の好みやニーズにマッチした内容で、適切なタイミングかつ適切なチャネルで、直感的に届けられるよう、ユーザーの好みやニーズに合わせて進化してきました。しかし、残念なことに広告制作者は、エンゲージメントを獲得するよりも、消費者の目を引くことだけにとらわれている傾向があります。その結果、ユーザーに不快な体験をもたらす迷惑で邪魔な広告が見られるようになりました。多くの広告は重く、ロードに長い時間がかかり、ユーザーのブラウジング体験を不快なものにしてしまっています。

第三に、PC上にファイルをダウンロードさせ、トラッキングや行動監視技術を利用し、訪問するウェブサイトに基づいてユーザーの行動をプロファイルする広告があります。このような広告は、ユーザーの機密情報へのアクセスを得るため、外部からの攻撃によって悪用され、個人情報漏洩などにつながる可能性があります。

今日の広告の多くはプライバシー侵害やセキュリティリスクとして認識されています。広告制作者や広告主は、適切なチャネルで適切なタイミングに適切な広告を配置し、トラッキングや監視技術をアクティブにする前にユーザーに許可を求めるようなスマートな広告を生み出す必要があります。

そうした広告にはどのような対策が必要か?

広告プラットフォームがトラッキングや行動監視技術を利用し続けた結果、プライバシーを保護し、ウェブを閲覧する際によりスムーズな体験を提供する広告ブロッカーが私たちの生活に必要不可欠なものになってきています。

その一方でユーザーは、個人的な好みやニーズに基づいて、高度にパーソナライズされたコンテンツを望んでいます。高度にカスタマイズされたコンテンツや製品を作成するためには、情報にアクセスする必要があります。企業は消費者を尊重し、プライバシーを侵害せず、破壊的ではない方法での情報にアクセスする方法を考え出す必要があります。

これらの問題に対処するため、Acceptable Ads Standards Committee(AAC)とCoalition of Better Ads(CBA)という2つの団体が設立されました。

広告の基準

Acceptable Ads Standards Committee(AAC)

Acceptable Adsは、Adblock Plusの運営元であるEyeoによって2011年に立ち上げられ、デジタル広告のエコシステムを改善し、持続可能なものにすることを目的に活動しています。この基準は、Adblock Plusユーザーの意見をもとにEyeoによって2012年に作られ、その後2017年に設立されたAcceptable Ads Committee(AAC)に引き継がれました。

  1. 営利目的の連合:企業、広告主、アドテクプロバイダー、広告代理店、パブリッシャー、コンテンツ制作者
  2. ユーザー支援連合:広告ブロッカーユーザーやデジタル権利保護団体
  3. 専門家連合:研究者、クリエイティブエージェンシー、学者などのオンライン広告や広告ブロッカーの専門家

AACは、広告が迷惑なものではなくなるよう、エコシステムを構成するメンバーが順守する初期の「優良広告基準」基準を作り、改善を行ってきました。AACでは、「許容できる広告」を3つのカテゴリーに分類しています。

  1. 配置:広告は、ユーザーのブラウジングの流れを妨げてはならず、メインコンテンツの上、下、または横に配置されるべきである
  2. 差別化:広告とコンテンツを明確に区別できるよう、広告であることを明示、もしくはわかりやすく表示する
  3. サイズ:広告が占めるスペースは、コンテンツのスペースを超えてはならず、また位置に応じたサイズ制限を遵守すべきである

Coalition for Better Ads(CBA)

2016年には、メディアに関わる複数の業界団体や企業(Google、Microsoft、Facebook、Unilever、米国広告代理店協会)によってCoalition for Better Ads(CBA)が結成されました。

この団体は、消費者の好みを理解し、期待に応えるデジタル広告のエコシステムを構築するために設立されました。これは重要なポイントで、デジタルパブリッシャーのビジネスモデルは広告で維持されています。ユーザーが無料でコンテンツにアクセスできるよう、デジタルパブリッシャーのコンテンツ制作資金は広告に依存しています。

残念ながら、ポップアップ広告や大きな広告などの出現は、非常に悪いブラウザ体験を生み出し、広告ブロッカーをインストールするユーザーの増加につながっています。

Better Ads Standardsは、消費者が広告ブロッカーをインストールする理由となる広告フォーマットを特定するために、好ましくない広告に関する調査、消費者に関する洞察、あらゆる業界における知見に基づいています。

CBAでは、広告ブロッカーのインストールを促す可能性が高いと考えられる12種類の広告を特定しました。

例えば、音付きで自動再生される動画広告、点滅するアニメーション広告、全画面スクロール広告などが挙げられています。

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まとめ

この2つの団体は異なる趣旨のもと立ち上げられました。CBAは広告ブロッカーの使用を減らすためにどのような広告を避けるべきか調査することを目的に業界団体やメディア関係者が設立したものです。AACは、許容できる広告がどのようなものかを特定するために、広告ブロッカーユーザーを対象に調査を行い、設立されました。

両団体がともに達成しようとしている最大のゴールは、ユーザーエクスペリエンスを保護しつつ、パブリッシャーや広告制作者がトラフィックを継続的に収益化できるようにすることで、コンテンツを無料で提供し続けられるようにすることです。

広告ブロッカーの課題

広告だけでなく、広告ブロッカー技術にも負の側面があることを覚えておくことが重要です。

強力な広告ブロッカーは、ウェブサイトを破壊し、オンライン体験を悪化させる可能性があります。広告ブロッカーは、ウェブサイト内で見つかった不要なコンテンツをブロックしているため、クッキーやトラッキングを有効にしているウェブサイトにアクセスできなくなる可能性があります。

Amazon、Google、Bing、Yahooなどに対して、私たちは購入・閲覧履歴や好みに基づいた情報提供や検索結果を求めています。しかし、広告ブロッカーはそうしたユーザーエクスペリエンスを阻害してしまいます。

また、広告ブロッカーが有効になっているとSNSにアクセスできないことがあります。これは、SNSがどのように私たちの生活を形成してきたかに関する別の議論や政治的な議論にも繋がる課題です。

アバスト セキュア ブラウザによる保護

アバストでは、ユーザーと親和性が高い製品を提供しています。ユーザーのプライバシーを保護し、安全かつ中断のないブラウジング体験を提供する製品の開発に取り組んでいます。

アバスト セキュア ブラウザには、コンテンツフィルタリングのためのブラウザ拡張機能の1つであるuBlockが内蔵されており、現在より良いブラウジング体験を実現する最新版の広告ブロッカーの開発を進めています。

この記事は2020年8月26日に公開されたWhat is Adblock?訳です。

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