性的な目的で子どもと親しくする「チャイルドグルーミング」がオンラインでも広がっています。我が子が多くの時間を過ごしている場所に、目に見えない犯罪者が潜んでいることに、親なら誰しも心配するでしょう。

心理セラピストで作家のキャサリン・ニブス氏（Catherine Knibbs）は、ネット上での子どもの性的搾取は一般の人が思っている以上に多いと危惧しています。ニブス氏は、10歳未満の子どもを含む、オンライン上で不快な経験をした人の相談に乗っており、子どもたちが経験したことの影響は長期的で、「身体的な虐待を受けたと同じ 」と語っています。

ニブス氏はまた、見知らぬ人同士が連絡を取ることができるプラットフォーム、特に親が使っていなかったり、理解していなかったりするものは子どもの性的搾取に利用される可能性があると指摘し、若い世代で人気のアプリ「Discord」を一例としてあげました。

「Discordは素晴らしいアプリですが、ファイルの共有が可能なため、加害者は子どもに画像を送ったり、要求したりできてしまいます。」

さらに、加害者は子どもを他のアプリに誘導させることもできます。そうすると、子どもは、親から了承を得ているアプリから離れ、誘われたアプリをダウンロード、アクセスするかもしれません。

親が子どもをオンラインの脅威から守るためにできる対策について、ニブス氏による専門的なアドバイスを以下にご紹介します。

チャイルドグルーミングとは？

まず、チャイルドグルーミングについて、ニブス氏は次のように説明しています。「チャイルドグルーミングとは、未成年者を性的な目的や金銭的な利益を得るために利用することを意味します。犯罪者は子どもと仲良くするために準備時間を要することもありますが、オンラインではその準備が『可愛いね』の一言のチャットで終わることもあります。」

唐突に感じるかもしれませんが、オンラインの犯罪者の多くは電話営業と同じように、大人数に声をかけて、その中からすぐに反応してくれる子どもを探しているのです。反応が否定的であっても、会話のきっかけになります。

ニブス氏はさらに、次のように述べています。「オンラインでのチャイルドグルーミングでは、短時間で子どもの信頼を得ることができてしまいます。例えば、ある女の子はビデオ通話をしている犯罪者から、ある行為をするように言われたとします。その行為が必ずしも不適切ではないとしても、犯罪者はその行為を不適切だと断言し、彼女の両親に伝えると脅迫します。そして、それを利用して彼女にますます性的なことをさせるのです。グルーミングには必ず、子どもの恐怖心を利用するという側面があります。幼い子どもはトラブルに巻き込まれることを恐れ、年長の子どもは親や同級生に知られることを心配します。」

チャイルドグルーミングの手法は、なりすましやフィッシングなどのサイバー犯罪と似ている一方、他のソーシャルエンジニアリングより悲惨な結果をもたらしています。犯罪者は銀行の口座情報を聞き出そうとしているのではなく、ほかの犯罪者と取引できる画像を入手しようとしているのです。

オンラインでのチャイルドグルーミングについて、子どもに話しましょう

チャイルドグルーミングについての会話は一回だけでは効果がありません。子どもの幼少期から何度も、オンラインでの安全について話し合う必要があります。子どもが批判的思考力を身につけるために、「質問をすること」を教えましょう。

ニブス氏は以前、次のように語っています。「ネットの悪い人たちに気を付けて、と怖がらせるより、子どもに『オンラインで連絡を取っている人が本当に友達かどうか、どうやって分かるの？』と聞いてみてはいかがでしょうか。」

また、子どもは、大人と同じようにあらゆる情報を関連付けられないことも忘れてはいけません。例えば、子どもに「Discordで連絡を取っている人がどういう人なのか、どうやって分かるの？」と聞くと、その会話がDiscordにしか当てはまらないと思われるかもしれません。

この点を踏まえ、ニブス氏は、まだ批判的に考えることができない13歳未満の子どもに、デバイスを一人で使わせないことを提案しています。年上の兄弟や友人がデバイスを持っている場合は徹底するのは難しいかもしれませんが、このルールを確立し、批判的思考を教えることで、子どもをオンラインでのグルーミングから守ることができます。

最後に、子どもに毎日、オンライン活動について聞いてみましょう。学校で起こっていることに対する好奇心を、デジタル空間にも持ちましょう。

この記事は2021年6月14日に公開されたHow do you protect children from online predators? の抄訳です。