オンラインで長い時間を過ごしているのは、主にデジタルネイティブ世代だと思っていませんか?若者がスマートフォンに夢中になっている姿はよく見る光景ですが、インターネットを利用しているのは若い世代だけではありません。特に新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛期間で、さまざまな年齢層の人が、家族や友人との連絡、オンラインバンキング、オンライン診療など、あらゆることにインターネットを利用しています。実際、アバストが行った調査によると、65歳以上の人の46%が、新型コロナウイルス拡大前の生活と比べて、インターネットの重要性が増したと回答しています。
しかし、インターネットを利用する時間が増えれば、それだけリスクも高まります。国民生活センターによると、2020年度、60歳以上の通販トラブルが過去最多になっており、特にオンラインショッピングに関する相談が増えています。あらゆる年齢層のオンラインでの安全を守ることは、これまで以上に重要になっているのです。
アバストは、全米高齢者協議会(NCOA)と提携しており、同協議会のCEOであるラムゼイ・アルウィン氏に、シニア層のインターネットユーザーを守るためのアドバイスを聞きました。
ーこの度はNCOAと提携でき、とても嬉しく思っています。なぜアバストと提携しようと思ったのですか?このパートナーシップを通して、どのようなことを実現していきたいとお考えですか?
新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界は大きく変わりました。特に大きく変わったこととして、家族や友人との連絡、買い物、受診などが挙げられます。シニア層の方々も、この新しいバーチャルな世界に適応しています。オンラインで食材を購入したり、Zoomでヨガ教室に参加したり、FaceTimeで友人と話したり、テレワークをしている方もいます。しかし、インターネットに慣れていない方も多く、詐欺師の標的になりやすいのです。NCOAはアバストと提携することにより、フィッシング詐欺の見分け方、パスワードの管理方法、スマホアプリの安全な使い方など、シニア層の方々が安全にインターネットを利用するための情報を発信していきます。
ー年齢層が高い方々に対して、どのようなオンライン詐欺が見られますか?
詐欺師はさまざまな方法で高齢者を狙っています。一般的な詐欺として、税金や給付金を受け取り損ねる可能性があるという内容の、国税庁などの機関を装った詐欺が挙げられます。金銭的な援助を必要としている孫のふりをするオレオレ詐欺など、琴線に触れる詐欺もよく見られます。また、ターゲット層のサイバーセキュリティに関する認識不足を利用し、デバイスがウイルスに感染しており、修理が必要であるというポップアップメッセージを表示するテクニカルサポート詐欺に関する相談もよく受けます。
ーシニア層=テクノロジー弱者、という偏見について、どのようにお考えですか?
NCOAはシニア層の方々への年齢差別に対抗しています。今日のシニアはデジタル技術を急速に取り入れています。また、オンライン詐欺はますます巧妙になってきており、高齢者に限らず、誰もが被害者になる可能性があります。そのため、オンラインでの安全を守る方法をあらゆる世代の人に伝えていきたいのです。
ー60歳以上の人々について、若い人たちに知ってほしいことはありますか?
多くのシニアの方々は生涯学習者であり、自分や家族のためになるのであれば、新しい技術を取り入れるのに積極的であることを知ってもらいたいです。彼らはテクノロジーを恐れていません。ただ、デジタルネイティブではないため、若い方々とは異なるオンライン体験をしているかもしれません。私たちは、高齢者の方々がオンラインでの活動をコントロールできるよう、偏りのない情報やツールを提供する必要があると考えています。また、デジタルネイティブではない人の視点から、インターネット利用をより簡単・安全にする方法に関して話し合うことも重要です。
ーおじいちゃん、おばあちゃんのオンラインでの安全性を心配している若い人たちへのアドバイスはありますか?
祖父母などとコミュニケーションをとることが最も重要です。おじいちゃん、おばあちゃんはもちろん、どんな方でも、孤立していると詐欺の被害に遭いやすくなります。大切な人に、インターネットを利用する際のセキュリティ対策について教えてあげてください。お金が関わるオンラインサービスなど、重大な決断をするときは一度家族と相談するといったシステムを作っても良いかもしれません。
ーシニアの方々がインターネットを安全に利用するためのヒントを教えてください。
まず第一に、見知らぬ人や団体にお金を送ったり、クレジットカードや銀行口座、生年月日などの個人情報を教えたりしないでください。知らない人や会社からメールが来たら、そのメッセージは必ず疑い、信頼できるのか、時間をかけて判断しましょう。良質な企業は、圧力をかけるようなことはしません。商品やサービスを購入する際は、前払いはせず、しっかりリサーチを行いましょう。そして、詐欺行為に遭遇したら必ず警察に通報しましょう。
ーありがとうございました。