ブラウザはランサムウェア、トロイの木馬、フィッシング攻撃の入り口になるだけでなく、クレジット カード情報、パスワード、アクセスした Web サイト、個人的な興味や関心、検索した内容、習慣といった最もプライベートな個人情報を公開してしまうこともあります。その問題の解決方法については詳しく説明しますが、まず考慮すべきことは、今使っているブラウザを捨てることになったとしても、プライバシーを守ってくれるプライベート ブラウザを使用するということです。
この記事を最後まで読めば、次のことが分かるようになります。
- インターネット ブラウザとは何か、どのように動作するのか
- Cookieとは:良い Cookie と 悪い Cookie
- Web サイトはどのような種類の情報を追跡しているのか
- プライベート ブラウジングはどのように動作するのか
- プライバシーが確保されるようにブラウザを設定する方法
インターネット ブラウザとは
インターネット ブラウザまたは Web ブラウザは、メールやお気に入りのサイト、オンライン コンテンツにアクセスするために使用するソフトウェアです。ブラウザは軽量なプログラムで、Web ページが作られているコードを、人が理解して操作できるテキスト、画像、動画、Web アプリケーションに変換します。
どのオペレーティング システムにも独自のブラウザが組み込まれていますが、無料でダウンロードできる独立系のプログラムも数多くあります。
人気の高い Web ブラウザには、次のようなものがあります。
- Google Chrome
- Mozilla Firefox
- Internet Explorer/Edge(Windows)
- Safari(iOS)
- Opera
出典:https://www.w3counter.com/
Google と Mozilla にはオープンソースのブラウザ プロジェクトがあります。開発者がこれを使うと独自のソフトウェアを作成できるため、世の中には数多くの代替ブラウザがあります。Opera も古い自社製レンダリング エンジンを捨てて、Google の Chromium のエンジンを採用しました。Comodo IceDragon と Waterfox は Firefox ベースです。
Cookie とは
インターネットは謎に満ちていますが、Cookie はおそらくインターネットの最も謎な部分の 1 つと言えるでしょう。Cookie はプログラムなのでしょうか、ファイルなのでしょうか?良いものなのでしょうか、悪いものなのでしょうか?Web サイトで Cookie を許可した方がよいのでしょうか、ブロックしたほうがよいのでしょうか?
Cookie は使用しているブラウザ、Web アクティビティ、コンピューターについての様々な情報が格納されているテキスト ファイルです。Cookie がウイルスの感染を引き起こすことはありません。むしろ、Cookie は何もせず、単にコンピューター上にいるだけであり、ログイン情報、訪問した Web サイト、Web アクティビティなど、ブラウザが迅速にアクセスできるようにする詳細情報を保存しています。そのため、Cookie は必ずしも悪いものではありません。
一般的に言えば、Cookie はインターネットをできるだけスムーズに使えるようにするものです。Cookie はバックグラウンドで動作して、ショッピング カートに追加した商品をオンライン ストアで記憶するのを助けたり、Facebook を開くたびにログイン情報を入力する必要のないようにログイン情報を保存したりするので、害があるというわけではありません。
しかし、Cookie の多くはそれまでいた場所や検索したものをマッピングするトラッカーも使用します。旅行から新しい仕事まで、興味・関心や好み、症状や心配事、将来の計画といった個人情報が筒抜けになってしまいます。
さらに重要なことには、これらの情報はすべて、広告やマーケティング関連メッセージを表示する対象を見極めることに使われることから、広告主、マーケティング業者(さらに言えば政府機関)に情報を収集されることが嫌ならば、良い Cookie と悪い Cookie を見分ける方法を知っておくべきでしょう。
Cookie の種類
- セッション Cookie(インメモリ Cookie または一時的 Cookie)は、Web を閲覧している間にコンピューターに保持されるだけの一時ファイルです。セッション Cookie にユーザー情報は保存されませんが、毎回、ログインし直す必要なく、Web サイトの様々なページに移動できるようにしたり、ショッピング カートに追加した内容をブラウザで記憶するのを助けたりします。セッション Cookie はブラウザを終了すると削除されます。
- 永続的な Cookie には、特定の日付や期間が追加されています。永続的な Cookie がアクティブな間は、ユーザーの閲覧傾向についての情報を送信し、広告主はその情報によってユーザーを追跡できるようになります(そのため、トラッキング Cookie とも呼ばれます)。ただし、永続的な Cookie はログイン状態を保つためにも使用できるため、訪問するたびにユーザー名とパスワードを入力する必要はありません。
- サードパーティ Cookie は、今いるドメイン以外のドメインの Cookie です。通常、サードパーティ Cookie は Web サイトの広告スペースを購入し、ターゲットを絞り込んだ広告を独自の手法で提供しようとする企業や組織が埋め込むものです。訪問するどの Web サイトでもいつも同じ製品の同じ広告が表示されるのは、サードパーティ Cookie によるものです。
- Flash Cookie は明示的な許可なしにローカル コンピューターに保存されます。Flash Cookie の存在に気付いてさえいない人も多いでしょう。Flash Cookie はブラウザ設定から管理できず、通常の Web Cookie と一緒に削除することもできません。そのため、手動で削除されるまで PC に居残り続けます。Flash Cookie にはゲームの進行状況などの役立つ情報を保存できますが、訪問を追跡したり、設定を開示したりすることにも使用されることがあります。
- Supercookie、permacookie、ゾンビ Cookie は、ブラウザに保存される Web Cookie に加え、コンピューターの複数の場所(通常は Adobe Flash ディレクトリ)に保存されるコードです。このため、それらの Cookie を見つけて削除することは難しく、Cookie をクリアするようにブラウザを設定していても、他のフォルダーに保存されている Cookie を消去することはできません。その上、Web Cookie を削除してもゾンビ Cookie はその Web Cookie を複製するため、すべてのゾンビを絶滅させるまで追跡され続けます。
追跡しているのは誰か
EU 諸国にお住まいの方なら、いわゆる Cookie Law のおかげで、ほとんどの Web サイトが Cookie を使用していることをご存知でしょう。この法律は、訪問者のデバイスにこれらのファイルを保存する前に訪問者から同意を得ることを Web サイトに求めるものです。しかし、追跡されていることに気付いてさえいないユーザーは世界中に何百万人もいます。
ワシントン大学の調査によると、世界で最も人気の高い Web サイトの 75% がトラッキング ツールを使用しているということです。各サイトでは何十もの独自の Cookie だけでなく、多数のサードパーティ トラッカーを使用し、常にユーザーに関する情報を収集している場合もあります。実際、Mascherari Press 社が発表した別の調査によれば、Information-Tracking Superhighway(情報トラッキング スーパーハイウェイ)とも呼ばれる複雑なインフラストラクチャに、何百もの有名な Web サイトが接続されているため、すべてのサードパーティ トラッカーがいわゆるスーバーハイウェイを介して膨大なデータに自由にアクセスできるようになっているとのことです。
さらに驚くべきことに、一人当たり平均 3,000 項目のデータを 3 億 5 千万人分持っている企業もあります。そうした企業はあなたについてどのようなことを知っているのでしょうか。現在地、お気に入りのレストラン、習慣、訪問した Web サイトから、医療情報や金融機関による信用調査結果など、個人的なデータすべてです。
デジタル フィンガープリントとは
Cookie はオンラインのアクティビティを追跡する 1 つの方法ですが、オンライン フィンガープリントでも Web サイトはあなたが誰なのかが分かります。その方法は?Web サイトはユーザーが使用しているデバイス、オペレーティング システム、フォント、画面解像度、色深度、タイムゾーン、ブラウザのバージョン、プラグイン、その他の設定(つまり、Cookie や広告をブロックしているかどうか)に関する情報を収集します。
そして何よりも、各 Web サイトの背後にいるデータ企業や広告主があなたのアクティビティを追跡しています。読んだ記事やスキップした記事、視聴した動画や 3 秒で止めた動画、開いたプロモーション メールやごみ箱に捨てたメール、興味のあるトピック、非表示にした広告、「いいね!」した Facebook の投稿、リツイートしたツイートなどを知っているのです。
使っているフォントを広告主が知っているとして問題はなさそうですが、残念ながらそうではありません。これらの情報をすべてまとめると、個人のデジタル フィンガープリントができあがります。Web サイトは個人を特定し、その好みやニーズに合わせた広告を表示できるのです。
オンライン トラッキングをブロックする方法
Cookie の削除や無効化からプライベート ブラウザへの切り替えまで、個人情報の垂れ流しを抑えるためにできることはたくさんあります。オンラインでの足跡を消去する方法について見て行きましょう。
1.Cookie を無効にする
Web サイトを正しく表示して使用するには Cookie が必要なため、広告主から隠れることは非常に難しいことです。Cookie や Flash を無効にすることもできますが、訪問のたびにすべてのアカウントにログインしなければならなったり、カートに何も保存されないせいで買い物ができなくなったり、アニメーションを表示できなくなったり、ブラウザがフリーズやクラッシュばかりになったりしたら、Web の閲覧はあまり楽しいものではなくなってしまいます。
一番安全なのは、サードパーティ トラッキングを無効にし、定期的に Cookie をクリアするという方法です。この方法では、インターネットでのプライバシー保護のレベルを上げつつ、これまでと同じように買い物や閲覧を行えます。Cookie は Web ブラウザに保存されるので、プライバシー設定で利用可能なオプションを設定する必要があります。ブラウザによって設定方法が異なります。
5 大ブラウザでの Cookie とプライバシーの設定は、次のようにして管理できます。
2.トラッキング対策アプリまたはプラグインを使用する
プラグイン、アドオン、拡張機能など呼び方はいろいろありますが、それらはどれも同じ目的で機能します。すなわち、ブラウザでの閲覧体験を改善することです。これらの軽量なソフトウェアはブラウザにインストールされ、ブラウザ本体が行えない新しい機能を追加します。
プライバシー アドオンは、トラッキング Cookie、スクリプト、オンライン広告をブロックするために使用できます。バックグラウンドで動作するものもあれば、動作する前に有効にしたり、設定したりする必要があるものもあります。無償のものも有償のものもあるため、インストールする前に多少時間を掛けて、評価や使い方、ユーザー フィードバックを調査、確認することをおすすめします。
そしてご紹介したいのがアバスト アンチトラック プレミアムのようなトラッキング対策ソフトウェアです。アバスト アンチトラック プレミアムを使用すると、誰が追跡しているのかを調べてブロックし、デジタル フィンガープリントを隠し、さまざまなプライバシー対策機能と設定でブラウザを完全に管理できます。通常、これらのアプリはブラウザに拡張機能をインストールしますが、アプリのダッシュボードから管理されます。
3.プライベート ブラウザを使用する
ブラウザを設定するのは複雑な場合があり、分からないまま設定を行うと、Web ページが閲覧できなくなってしまいます。また、アドオンをたくさんインストールし過ぎるのもよくありません。処理速度が低下することがあります。
トラッキング技術の発展により、開発者は自社のブラウザにプライバシー機能と設定を組み込み、共有する情報、情報を共有する相手、共有する方法を管理しようとしてきました。
Tor(The Onion Router)は、初の匿名ネットワークの 1 つとして 2002 年に立ち上げられました。Tor プロジェクトを後援するグループはブラウザも開発しました。このブラウザは Web サイトに直接接続するのではなく、世界各地の有志が運営する多数のサーバーを経由し、バーチャル トンネルの Web を形成するため、アクティビティをプライベートに保つのに役立ちます。
Tor には定義済のプライバシー設定が含まれています。この設定は移植でき、フラッシュ ドライブの外でも実行できます。Tor はすべて無料で、Windows、Mac、Linux、Android で利用できます。Tor は履歴、オンライン投稿、インスタント メッセージ、オンライン上でのすべてのやり取りを隠します。他のブラウザに比べて動作は遅めですが、インターネットの自由を求めるアクティビストは Tor を推奨しています。ジャーナリストも、活動や所在を秘密にする必要がある内部告発者などの情報提供者と連絡を取るのに Tor を使用しています。
しかし、無償のプライベート ブラウザは何十種類もありますが(Tor の他には Epic や Comodo が人気)、それらの多くは Chrome や Firefox と同じフレームワークで開発されたものです。
4.VPN(仮想プライベート ネットワーク)を使用する
VPN はスタンドアロン アプリやブラウザの拡張機能として提供され、無償または有償で使用できます。接続を暗号化することによって公共 Wi-Fi ネットワークでユーザーを保護したり、接続先を変更できるようにすることでコンテンツ ブロックを回避できるようにしたりするほか、IP(Internet Protocol)アドレスも隠して、インターネットサービスプロバイダ(ISP)にアクティビティが見られないように隠します。
こうした対策を取るべき理由は、ISP が閲覧履歴の記録を収集および保管することを許可されているためです(義務ではない)。米国など一部の国では、ユーザーの同意なしにデータを販売することもできます。
VPN を使っても Cookie がコンピューターに保存されたり、広告主がユーザーをプロファイリングしたりするのを阻止できるわけではありませんが、VPN はオンライン セキュリティとプライバシーを心配しているユーザーにとっては不可欠なツールです。ただし、一部の無償製品には注意すべき点があります。VPN を使えばハッカーや ISP、政府機関による監視から隠れることはできますが、VPN が独自にデータ プロファイリングを行っていたり、無数のセキュリティ リスクの入り口になったりすることもあります。
5.プライベート ブラウジング モード
シークレット モード、プライベート ブラウジング、InPrivate ブラウズなど、ブラウザによって呼び方は異なりますが、これらの機能はプライバシーの保護にどのように役立つでしょうか。簡単に言ってしまうと、あまり期待はできません。履歴がハード ドライブに保存されないようにすることによって、同じコンピューターを使用しているユーザーにアクティビティを知られないようにするだけです。
検索内容、訪問したページ、ログイン時やオンライン フォームに入力した情報が保存されなくなります。また、ダウンロード履歴も保存されませんが、ブラウザを閉じてもダウンロードしたファイルはコンピューターに残っています。さらにプライバシーを保護するために、Firefox にはトラッキング保護機能があり、Opera では VPN を使用できます。
この機能は、(インターネット カフェや空港などにある)公共のコンピューターからネットを閲覧するときや、ネット購入したプレゼントをサプライズで贈りたい場合、オンラインで何をしているか家族に知られたくない場合には確かに重宝します。
しかし、プライベート ブラウジング モードで完全にプライバシーを保護できるわけではありません。インターネット サービス プロバイダー、ルーター、ファイアウォール、プロキシ サーバーでもアクティビティは追跡されているからです。たとえば、勤務先や政府から隠れることができるかといえば、それは間違いです。当局はいつでもオンライン履歴へのアクセスを求めることができることを忘れてはいけません。
この記事を読んで、ブラウザや Cookie の動作、そしてさらに重要な、侵入してくるオンライン トラッキングを阻止する方法についてご理解いただければ幸いです。新しい アバスト アンチトラック プレミアム アプリをぜひお試しください。