心当たりのない請求にご注意! 架空請求詐欺の手口と対策

Emma McGowan 14 11 2023

まったくの作り話による請求や、法的には支払義務が存在しない請求で金銭を騙し取る架空請求詐欺。増加傾向にある架空請求の手口と対策のポイントを解説します。

想像してみてください。あなたは数百億ドル規模の大企業で、経費の承認支払いを担当する立場です 

ある日、あなたのアシスタントから、不動産の改修費用総額40万ドルの請求書の承認を依頼するメールが届きました請求の内容自体は会社の事業内容から見てよくあるものだったので請求書の支払いを進めようとしたときあなたはあることに気が付きました。アシスタントのメールアドレスの名前が1文字抜けていたのです 

これは、不動産大手コーコラン・グループの創設者であり、人気テレビ番組の司会者でもあるバーバラ・コーコランの会社で実際に起こったことです。 

このケースでは、物件は実在せず、改修を担当したとするリフォーム会社も偽物でした。コーコラン・グループの経理担当者がアシスタントの正しいメールアドレスに確認したことでギリギリのところで詐欺を回避できたのです 

これは、悪質業者が特定の人物をターゲットにして多額の金銭を騙し取ろうとした架空請求詐欺の一例ですアバストの2023年脅威予測によると、架空請求詐欺はますます増加しており、その標的は有名人や会社社長といった層から、一般消費者にまで広がっているといいます。  

増加する架空請求詐欺 

架空請求詐欺は、ビジネス電子メール詐欺(BEC)や電子メールアカウント詐欺(EAC)とも呼ばれ、企業や個人に偽の請求書を送って多額の費用を支払わせようとするオンライン詐欺の手口です 

このような詐欺に共通するのが、信頼できる業者や有名ブランドをかたり、合法的な出所からの請求書に見せかけようとしている点。  

支払わなければサービスが停止されるといった警告であったり滞納すれば信用機関に報告するといった脅し文句で切迫感をあおり受信者に冷静さを失わせることがねらいです。 

このような手口は今や広く知れ渡っており送信元のメールアドレスやメールの内容などにおかしな点があれば、すぐに見破ることができます。 

しかし、最近の手口では正規の発信元から偽の請求書が送信元から送られてくることもあります。請求書は本物の資金移動サービスからから送信されるため見分けるのが難しくなっています。ウェブサイトとメールが本物だからと言って信頼せず、請求に心当たりがあるか一度冷静になって確認する必要があります。 

アバスト2023年脅威予測から見る架空請求詐欺の動向 

最新のサイバー犯罪のトレンドをさまざまなデータをもとに予測したアバスト2023年脅威予測によると、架空請求詐欺は現在世界規模で増加傾向にあります。 

最新の報告書によると、架空請求詐欺と還付金詐欺の発生率は過去3ヵ月間で50%も上昇していることが明らかになりました増加率は日本が最も高く50%増、英国が26%増、カナダが21%増、米国が19%増となっています 

2022年第4四半期から2023年第1四半期における還付金詐欺および架空請求詐欺のリスク比 

世界的に発生件数が増加する中、企業側には架空請求詐欺の動向について従業員に情報を共有し、注意を呼び掛けることが求められます。 

一人ひとりが危機意識を持って架空請求詐欺に対抗 

誰もがターゲットになりうる架空請求詐欺に対抗するには、私たち一人ひとりが危機意識を持ち、詐欺の手口についてよく知っておくことが大切です。 

架空請求を見破るために注意すべきポイントを紹介します。 

まず請求に心当たりがあるかどうか。個人レベルだと、身に覚えのない請求を見破るのは簡単ですしかし、会社員が法的サービスの請求書を受け取った場合それが偽物かどうか個人で判断するのは難しい。そういった場合は一人で判断せず、他の社員に相談しましょう。 

緊急の支払いを要請する請求書は、その時点で要警戒ですあなたが今日中に現金を送らないと裁判になるなんてことは絶対にありませんし、暗号通貨ですぐに送金しなかったからといって、信用格付けが一夜にして急落することもありません 

基本的なことですが、メールのダブルチェックも架空請求詐欺(および疑わしいメール全般)を避けるうえで効果的です。請求書がPayPalQuickBooksのような正規の送信元から送られていたとしても、請求者の名前のスペルが間違っていたり、michael@paypalservices1334.ru のような怪しいドメインから送信されていたりする場合があります。 

誰もが架空請求詐欺のターゲットになる可能性があります。一人ひとりがそのことを認識し、危機意識を持つことが、架空請求詐欺に対抗するために欠かせません。さらに、啓蒙活動やワークショップ、同業者間の情報共有を通じて架空請求に関する知識を社会に共有することができれば、誰にとっても安全なオンライン環境が実現できるはずです。 

関連記事

--> -->