Apple Watchがあなたについて知っていること

Emma McGowan 26 3 2021

Apple Watchを使用する場合、多くの個人情報をAppleに提供することになります。Appleが行っているプライバシー対策について知っておきましょう。

Apple Watchは発売当時、マニアックな人だけが購入するデバイスだと思われていました。当時ウェアラブルデバイスは評判が悪く、Apple Watchを「必要のない玩具」と嘲笑する人までいました。

しかし、それは2015年のこと。今では多くの人がApple Watchを愛用しており、発売当時の予想は覆されました。野心的な製品を発売し、一般的に定着しそうな機能を見極めながら、徐々に製品を幅広い層に訴求していくのは、Apple製品の典型的な戦略です。iPhone、Macのノートパソコン、iPadなども、このパターンに当てはまります。

Apple WatchはiPhoneと簡単に同期できるため、iPhone比率が世界一と言われている日本のユーザーにとって、便利で魅力的なデバイスです。Apple Watchの価格帯を見ると、多くのApple製品と同様「高額だが、手の届く範囲」だといえます。実はあのバイデン米大統領も、Apple Watchを持っているそうです。

そこで、本ブログではApple Watchのプライバシーについて取り上げます。「Apple Watch 5」を利用している筆者の友人、ベアトリスの話を例に挙げつつ、Apple Watchが収集する個人情報について考えていきましょう。

Apple Watchが収集する情報

言うまでもなく、Apple Watchを使って健康管理をするなら、「フィットネス」アプリが必要です。このアプリでは、以下の情報を収集しています。

  • 立ち上がる頻度
  • 日常生活における運動量(普段、どれだけ体を動かしているか)
  • エクササイズの合計時間

これら3つの測定値の管理はフィットネスアプリが提供する主な機能です。測定値は青、緑、赤の3つの同心円で表示され、アプリ内で簡単に把握することができます。

また、Apple Watchでは以下の項目も確認できます。

  • 消費カロリー
  • 立っている時間
  • 歩行距離
  • 上った階数
  • トレンド(体の変化)
  • 月経周期                                                    

一部のモデルでは、睡眠時間や血中酸素濃度まで確認できます。

以下の個人情報は、ユーザーが任意でApple Watchに開示するか決められます。

  • 名前
  • 生年月日
  • 性別
  • 血液型
  • 肌の色(フィッツパトリックのスキンタイプに基づいて判定)
  • 車椅子の利用有無
  • 心拍数に影響を与えうる薬の摂取

Appleは、Apple Watchで収集したデータを研究機関との共同リサーチ「Apple Health Study」に活用していますが、同意していないユーザーのデータは使っていません。研究へのデータ提供を希望する場合は、「リサーチ」アプリをダウンロードする必要があります。リサーチに協力するユーザーは、少し多めにデータを収集されます。例えば、病歴、服用している薬、家族に関する情報や健康習慣などのデータが挙げられます。ちなみに筆者の友人ベアトリスは、リサーチにはデータを提供していません。

もちろん、Apple Watchの機能は健康管理にとどまりません。モデルによって機能は異なりますが、Apple WatchはiPhoneの延長線上にあるデバイスとして利用できます。つまり、メール、カレンダー、株式情報、天気予報、音楽、ポッドキャスト、通話、Apple Pay、マップ、チャットなどの通知や機能の一部を利用できます。ベアトリスは、メールや天気予報、音楽の再生にApple Watchを使っているそうです。そういえば、時計もついていますね。

Appleのプライバシーポリシー

Appleはプライバシーを厳重に管理しており、Apple Watchとその関連アプリも、その姿勢を貫いています。Appleは、ターゲティング広告を目的としたトラッキングや、サードパーティーのウェブサイトでのトラッキングは行っていません。また、ほとんどの場合、ユーザーは自らデータを削除できます。Appleは可能な限り自社のサーバーを用いず、ユーザーデータは、ユーザーのデバイス上で処理しています。プライバシーポリシーも分かり易く記されており、第三者へのデータ共有も法律によって強制された場合か、「Apple Health Study」のようにユーザーが許可した場合のみ行われているようです。

ユーザーはAppleの製品を利用するうえで、同社に多くの個人情報を共有します。クレジットカード情報や、位置情報、メールやチャットの内容、電話の記録に、検索履歴。さらに、身体情報や健康に関する個人情報の全てが、
Apple Watchに保存されます。こうした状況を考えると、Appleのプライバシーへの取り組みは非常に重要です。

さらに、Apple Watchを使うには
iPhoneが必要です。この事実を加味すれば、Appleがユーザーの生活にほぼ完全にアクセスしていることが分かります。ユーザーのプライバシーはAppleの取り組みにかかっており、同社がポリシーを継続することを願うのみです。

ベアトリスにとって、Apple Watchには個人情報の提供に相当する価値があるそうです。同時に「Appleを信頼しているからApple Watchを使っているが、もし信頼できなくなったら、使わなくなると思う」とも語っています。スマートウォッチなどのデバイスを利用する際は、個人情報を提供している事実を認識し、提供企業のプライバシーポリシーを
確認しましょう。

この記事は2021年2月9日に公開されたWhat does your Apple Watch know about you? の抄訳です。

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