現代の子どもたちの多くはSNSと共に育っており、その成長過程で、自分の写真がたくさんオンライン上に投稿されます。友達や兄弟だけでなく、親が撮った写真が投稿されることも多く、知らない間に幼い頃の写真を投稿された人も多いのではないでしょうか。そのため、子どもが投稿された写真の削除を求めるケースは珍しくなく、アバストが米国で行った調査では、12歳以上の子供の48%が「投稿された写真の削除を求めたことがある」と回答しています。
また、アバストが日本で実施した調査でも、日本人の4人に1人が「自分の子どもの写真をモザイク無しでSNSに投稿した経験がある」と回答しており、アバストはセキュリティの観点からこの現状に警鐘を鳴らしています。
しかし、写真の削除を頼むのは意外と勇気がいることで、子どもから親に言いにくい場合もあります。ではどのようにしたら、子どもが正直に話してくれるでしょうか。
オンラインに関連したトラウマに詳しい、心理セラピストで作家のキャサリン・ニブス氏は、次のように述べています。「SNSが登場する前、写真はすべて自宅のアルバムに収められ、物理的に家に来た人だけが見られるものでした。しかし今、昔はアルバムに入っていた写真を、オンラインで誰でも見ることができます。そして親は、思い出を共有したい、自慢の子どもをみんなに見てもらいたいと思うがあまり、子どもが写真の投稿についてどう感じるか、忘れてしまうことがあるのです」
子どもたちは、自分の変顔を他の人に見られることを恥ずかしく思ったり、写真に自分のダサい靴下が写ったことを気にしたり、様々な感情を抱くでしょう。大人からしたら些細なことでも、子どもたちとっては一大事だと、ニブス氏は指摘します。そして親は、そうした子どもの気持ちを尊重しなければなりません。
そのためには、投稿する前に写真を一枚一枚、子どもと話して確認しましょう。たくさん撮った写真の中から、どの写真であれば投稿しても良いか、子どもに聞いてみましょう。
写真を投稿したい場合は、「ママはこの時のことを本当に誇りに思うから、写真を投稿したいのだけど、大丈夫?」といったように、声をかけることが大切だとニブス氏は言います。
そして投稿する際は、子どもが気に入った写真を選びましょう。子どもには、どのアカウントでその写真を投稿するか、誰がその写真を見る可能性があるか、伝えておくことも重要です。もし子どもが、できれば投稿してほしくないと言う場合には、その意見を尊重しましょう。
また、投稿した写真で気に入らないものがあれば、ためらわずに親に言うよう子どもに促しましょう。ニブス氏は、投稿された写真を不快に感じても、そのことを伝えようとすると緊張してしまう場合もあると指摘しています。そのうえで、親から積極的に「いつでも自分の気持ちを話してほしい」と、子どもに伝えることを推奨しています。こうした会話により、子どもは他の人々と接する際にも自分の意見を言えるようになっていきます。
子どもたちには、自分のオンライン上のアイデンティティを管理する権利があります。もし子どもから「その写真恥ずかしい!」と言われた場合は、その経験を忘れないようにしましょう。赤ちゃんの頃の写真がどんなに可愛くても、子どもには自分自身のイメージを守る権利があるのです。
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この記事は2020年10月29日に公開されたHow to talk to your kids about getting a photo removed の抄訳です。