アバストでは、Diffbotと共同でプライバシー関連の問題について調査しています。その一環として、インターネットに接続する場所によって人々のプライバシーがどのように変化するか、国別のプライバシーがどのように異なるのか調べました。
この調査では、人気ウェブサイトをランキングしているTrancoのドメインリストを使い、上位10万件のウェブサイトを分析しました。
まず、報道の自由がある国と、その国のドメインのプライバシーポリシーの関係を調査しました。ウェブサイトにプライバシーポリシーが含まれているかどうかと、報道の自由度指数を国別に解析したところ、相関係数0.75の関係があることがわかりました。メディアが企業や政府に対して透明性の向上を求めていることを考えると、納得です。
次に、プライバシーポリシーが国によってどのように異なるか分析したところ、ヨーロッパの国のプライバシーポリシーが長い傾向にあり、特にドイツのプライバシーポリシーが最も長いことがわかりました。これは、EU一般データ保護規則(
GDPR)によって透明性が求められているためと思われます。また、アフリカ諸国では南アフリカが際立っており、プライバシー法「POPI法」が背景に考えられます。
さらに、プライバシーポリシーの読みやすさに関しても調査しました。調査では、Fleschの読みやすさの公式や、文章の長さ(単語数)、単語あたりの音節数などを指標としています。
調査によると、トルクメニスタンのプライバシーポリシーが最も読みやすいことがわかりました。これは、ポリシー自体の数が少ないこと、ポリシーが短くて読みやすいことが理由として考えられます。一方最も読みにくいのは韓国、日本、タイのプライバシーポリシーでした。
また、別の研究をベースとし、プライバシーポリシーに使われている言葉が曖昧か分析した結果、ヨーロッパ諸国はアメリカより曖昧なプライバシーポリシーが少ないことがわかりました。GDPRが明確で分かりやすい言語の使用を要求しているからと思われます。
ヨーロッパのようにプライバシーに特化した法律がある場所は、そもそもプライバシーポリシーを義務づけていることが多いため、その市民のプライバシーがより守られている傾向にあります。
研究結果から、国や地域によってプライバシーに対する考え方は異なり、プライバシーポリシーをどのように構成するかも異なることがわかりました。ある国のプライバシーポリシーはほかの国でも通用するとは限りません。
特に読みにくいと言われている日本のプライバシーポリシー。大半の人は何に同意しているかを理解していないことが多くなっています。個人情報をウェブサイトやアプリに提供する前に、重要な箇所は目を通すようにしましょう。
参考:すべて読む必要はありません!プライバシーポリシーの正しい読み方