世代別に見る、デジタル教育の必要性について

Yoshiki Fujimoto 12 10 2021

アバストが発表した世代別のインターネット利用に関する調査結果によると、必ずしも若者はデジタルに強いとは限らないことがわかりました。

現在、世界の人口の半数以上にあたる48億人以上がインターネットを利用しています。日本ではGIGAスクール構想など、子どものIT教育が進んでいるなか、大人がインターネットに関する情報を得られる場所は限られています。

アバストではYouGov社Forsa社と協力し、デジタル時代におけるインターネットでの行動規範「デジタル・シチズンシップ」に関する調査を、17カ国で16,000人以上のインターネットユーザーを対象に実施しました。

「デジタル・シチズンシップ・レポート」の全文(英語)はこちらよりご覧いただけます。

若い世代のほうがオンラインでアクティブとは限らない

調査によると、仕事以外の目的で最もインターネット上で多くの時間を過ごしているのは18〜24歳で、51%がインターネットを1日3時間以上利用しているのに対し、55〜64歳は35%、65歳以上は37%にとどまっていることがわかりました。しかし、インターネットでどのようなことをしているか見ると、すべてのオンライン活動において若い世代のほうがアクティブとも限らないことがわかりました。例えば、18歳~24歳の3人に2人(66%)がオンラインバンキングやネット上での金銭関連のやり取りをしたことがないと答えている一方、65歳以上で使ったことがないと答えたのは59%でした。このようなサービスを最も使っているのは35歳~44歳で、約半数(49%)が1か月に数回以上使っていると回答しています。

さらに、65歳以上の約5人に1人(22%)が1ヶ月に複数回、オンラインゲームをしていると答えています。65歳以上の15%は1日に1回以上ゲームをしており、55歳以上の15%がPlayStationやXboxなどのゲームコンソールを持っていると回答しています。これまでのように外出が難しいコロナ禍において、シニア層もインターネット上で娯楽を楽しんでいることがわかりました。

フェイクニュースについて

オンラインニュースに関しても、45歳以上の80%以上が1日に1回以上オンラインでニュースを読んでいる・見ていると答えている一方、35歳〜44歳では73%、25歳~34歳は65%、18歳~24歳では約半数(52%)にとどまります。さらに、「フェイクニュース」が何か知っていると回答した人も、18歳~24歳では3人に1人(33%)、25歳~54歳は45%以上、55歳以上は50%以上と、年齢が高い世代での認知が高いことがわかりました。

18歳~24歳の4人に3人(74%)は1日に複数回SNSを利用していると答えています。テレビ離れしていると言われているこの世代は、SNSを通して情報やニュースを得る傾向が高いと考えられます。

しかし、SNSはニュートラルな情報源と呼ぶには程遠く、拡散させるための知識と若干の広告費さえあれば、誰もが偏った意図の情報を流布させることが可能なメディアでもあります。事実、多くのデマ情報やフェイクニュースが日常的に目に入ってくることは多くの方がお気づきの通りです悪意のある情報の判別方法や、大手メディアによる事実を元にした報道もチェックすることの重要性など、特にSNSへの依存度が高い若者への教育が求められます。

世代別のインターネット利用について

調査によると、「デジタルに自信がある」と回答したのはわずか28%、さらに、年齢層が上がるにつれ、この割合は低下傾向が見られます。

アバスト調査_インターネットに関するスキルと知識について_年代別

多くの人がインターネットに関するスキルに自信がないものの、約9割(88%)がインターネットのことで誰かに助けを求める際、相手の負担になっていないかを懸念していることがわかりました。さらに、意外なことに60代以上の6割(61%)はインターネット関連のことについて、助けを必要としていないと考えていることが明らかになりました。

インターネット利用に関してわからないことが多くても、ほかの人に助けを求められない、あるいは助けを求める必要がないと考えている人が多いことから、若い世代や自治体等からの積極的な働きかけがなければ、シニア層をはじめインターネットに不慣れな方がデジタル化の過程で取り残されていく状況が迫ってきていることが考えられます。

人々が安全にインターネットを利用できることは、デジタル上の基本的な権利としてますます重要になってきています。アバストは、「すべてのデジタルの自由を保護する」というスローガンの元、無料ソフトやアプリの提供を通じて、オンライン上のセキュリティやプライバシーの強化を支援しています。

しかし、正しくニュートラルな情報を見分けることができない人や、そのような情報にそもそもアクセスできないデジタル弱者にはオフラインでのサポートが必要です。すべてのデジタル市民が自由に、安全にインターネットを利用できるよう、政府や公共団体による教育活動や施策が期待されます。

自分と大切な人をサイバー犯罪の被害から守るために私たちができることとして、オンラインでの脅威に関する最新情報を把握し、安全対策に関して家族や友人と話し合うことを推奨します。

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