現代のインターネットは、何よりも意見を交換できる場です。ネット上での活動についてFlame wars(ののしり合戦)、Sealioning(礼儀正しく見せかけて相手に質問攻めをする、嫌がらせの一種)、Reply guys(特定の人のSNS投稿に対してしつこく返信する人)、そして今回のテーマであるトローリング(荒らし)など、新しい用語までもできてきています。
トローリングとネットいじめの違いは?
トローリングとは、オンライン上の人々の会話を混乱させるために、誰かが意図的に扇動的、無礼で、ほとんどの場合は的外れな内容を発言することです。トローリングは、「いじめ」に近いものとして一般化されてきましたが、このように実際には非常に特殊なネットいじめの一種です。
また、荒らしを行う「トロール」の目的は通常、混乱を引き起こすなどの嫌がらせをすることであり、人々の感情を傷つけることは二の次です。一方、いじめの加害者の目的は人をけなし嫌な思いをさせることです。
いじめであろうと、トロールであろうと、人々をネット上で傷つけることに変わりないため、意図が何であるかはあまり重要ではありません。
ネットいじめに関する統計
ネットいじめは子どもや10代の若者だけが対象だと思っていませんか?現実社会でのいじめがほとんど子ども同士の間で起こることだと広く考えられているため、ネットいじめも同様に認識している人が多いかもしれません。
しかし、ネットいじめは年齢に関係なく起こりえます。トローリングは、大人によるネットいじめだとも言えます。実際、ピュー研究所によると、アメリカの成人の41%が何らかのオンライン上のハラスメントを経験したことがあり、75%がネットいじめを目撃したことがあります。
ネットいじめとトローリングに遭ったときの対処法は?
ネットいじめやトローリングの多くは、SNSやゲームで起こっています。実際に遭遇した場合の対処法をいくつかご紹介します。
- トローリングされても無視しましょう
トローリングする人たちの目的は物事をかき乱し、荒らそうとすることです。TwitterやRedditのような、ユーザーが知らない相手と広く交流することができるサイトでよく見られますが、InstagramやFacebookのような、学校や職場の知り合いと繋がっている場所でも見かけることがあります。トローリングされてもなるべく無視するようにしましょう。
- ブロック機能を使いましょう
ブロック機能を使うのに躊躇してはいけません。もし誰かがオンラインであなたに嫌がらせをしていても、耳を傾ける必要はありません。最近では、SNS、テキストメッセージ、電子メールなど、あらゆるものにブロック機能があるので、使ってみてはいかがでしょうか。
- サイトの運営元に報告しましょう
嫌がらせがSNSやゲーム内で起こっている場合は、ブロックする前に必ず加害者の発言のスクリーンショットや録音をとり、サイトの運営元に報告してください。そうすることで、相手がそのプラットフォームで検閲されたり、退会させられたりする可能性が高くなります。Cyberbullying.orgでは、人気のSNSやゲームにいじめを報告する方法を詳しく紹介しています。
- 警察に相談しましょう
住んでいる地域やいじめの程度によっては、警察に報告したほうが良いかもしれません。自分の身の危険を感じた場合は、警察に被害届を出すことを検討しましょう。
- プロフィールを非公開にする
いじめから自分を守るために、プロフィールを非公開にしなければならない場合もあるかと思います。プロフィールを非公開にすることで、加害者があなたを狙う手段を減らすことができるだけでなく、あなたがオンラインに投稿した情報を使って、手の込んだフィッシング詐欺や個人情報を盗むサイバー犯罪者からも身を守ることができます。
私たちは日々オンラインで過ごす時間が長くなっています。つまり、ネットいじめや荒らしに加担することなく、オンラインで共存する方法を考えなければならないのです。
インターネット上で自分の意見を述べることがダメだというわけではありません。前述したように、インターネットは「意見を発信することができる場」です。ただし、それによっていじめが発生することもあるので、きちんと対策をして気を付けてネットを使っていく必要があります。
この記事は2022年8月4日に公開されたWhat’s the difference between cyberbullying and online trolling?の抄訳です。