話題沸騰中のSNSアプリ「BeReal」は安全?プライバシーリスクを徹底解説

Emma McGowan 12 10 2022

フィルターなしで、ありのままの生活の様子を共有し合う「BeReal」。編集を加えていない写真に、隠しておきたかったものが入ってしまうリスクもあります。

話題沸騰中のSNSアプリ「BeReal」をご存じでしょうか?2020年に提供開始され、2022年半ばから人気が上昇したこのアプリは、他のSNSアプリで当たり前になったキュレーションや加工から離れ、"be real"(ありのままの自分を見せよう)という考えを促進しています。

BeRealユーザーは1日に1回、毎日異なる時間帯に通知を受けます。それから2分以内に自分がいる場所の写真と自分の顔写真を撮り、加工せずに投稿します。顔加工などの編集が行われた写真は人々のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが証明されている中、このアプリは、フィルターなしのありのままの世界をユーザーに提供することを目標としています。

BeRealは善意をもって開発されたと運営側は主張するものの、大きなプライバシーリスクとなり得ます。アバストのグローバルセキュリティ責任者であるジェフ・ウィリアムズ(Jeff Williams)が詳しく調べたところ、以下のリスクが確認されました。

1. BeRealは、ユーザーが投稿した画像を30年間利用できる権利がある
利用規約をよく読むと、BeRealはユーザーが投稿した画像を30年間、どんな形にでも再利用できる権利があるとの記載があります。つまり、あなたの投稿が広告動画などに使われる可能性があるのです。30年という異常に長い再利用可能期間に加え、友人以外に自分の写真が見られることはないと思い、後先を考えず投稿している若いユーザーのプライバシーが侵害される可能性があります。

ウィリアムズは次のように指摘します。「あなたの恥ずかしい状況や、危険な状況を撮影した写真が広告に使われることを想像してみてください。その広告があなたの友人だけでなく、インターネット上で数百万人の目に留まる可能性があります。また、30年間は、現役時代の約6割に相当します。再利用の範囲が非常に広く、長すぎると考えます。」

2.隠しておきたかったものを意図せず公開してしまう
BeRealでは、自分の位置情報、個人情報、仕事の機密情報を間違えて公開してしまうことが、とても簡単に起こり得ます。もちろん、他のアプリでも公開できてしまいますが、BeRealは時間制限によるプレッシャー、編集や加工が不可、投稿を削除することが安易ではない、などの要素が絡み合い、他のアプリでは共有しないようなことを投稿してしまう可能性が高くなるのです。

ウィリアムズ曰く、「このアプリはユーザーのフロントカメラとバックカメラを同時に使い、ユーザー自身と身の回りのものを撮影します。写真の背景に何が映ろうと関係ありません。パソコンの画面や会社のホワイトボードのほか、写真に映ることを許諾していない人も入る可能性があります。2分という時間制限もプレッシャーとなり、ユーザーが深く考えずに位置情報や、将来に影響を及ぼす個人的な場面を公開してしまうリスクがあります。」

3. コンテンツ監視が欠如している
BeRealは、自社をあくまでも「ホスティング企業」である自称し、アプリに投稿されたコンテンツに対して責任を負わない姿勢を見せています。つまり、ユーザーにプラットフォームを提供しているだけで、厳しい監視がないため、ヘイトスピーチや未成年を含む性的コンテンツが安易に拡散されるリスクがあります。

この点に関して、ウィリアムズは次のように述べています。「Metaがコンテンツ監視に数百人採用しても、その業務を十分に行えていないことは、報道で繰り返し指摘されています。BeRealがコンテンツ監視に対し、Metaを超える規模の投資をしているとは考え難いたえめ、Facebookで起きたようなコンテンツ監視の欠如は、BeRealでもっと発見される可能性があります。」

4. 位置情報の共有がデフォルトでオフになっていない
Instagramなどのアプリは、位置情報の共有はデフォルトでオフになっている一方、BeRealはその逆です。BeRealでは、写真を撮影する度に「位置情報を共有しますか?」や「写真を友達のみ、もしくはBeRealユーザー全体に共有しますか?」のオプションが提示されます。

ウィリアムズは、BeRealで投稿する際はまず位置情報の共有を無効化することを推奨しています。「このアプリには、友達以外に写真を共有できる『Discovery』機能があります。現在地を広く共有すると、個人の特定やストーキングに悪用されるリスクもあります」

5. BeRealはサードパーティCookieを使用している
FacebookやInstagramと同様、BeRealもサードパーティCookieを使用しています。これにより、ユーザーのアプリ上の行動は広告主に追跡されており、個人にあわせた広告を表示できるようになっています。サードパーティCookieによるデータ追跡はインターネット全体で一般化しているものの、プライバシーを侵害することもあります。

総合的に、BeRealには他のSNSを悩ませてきたプライバシーリスクが多く存在します。そのため、ユーザーは自身でリスクを意識しながらアプリを利用しなければいけません。使う前に一度、「私に関する多くの情報にアクセスできる企業がまた一つ増えてもいいのだろうか?」、あるいは「このコミュニティに参加することは、自分自身や他人を危険な目に遭わせるリスクに値するか?」と考えてみてはいかがでしょうか?

この記事は、2022年10月6日に公開されたBeReal has good intentions, but does its privacy hold up?の抄訳です。

 

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