Apple Watchのデータ収集とプライバシー保護の取り組み

Emma McGowan 14 11 2023

誰もが、日々使うApple製品に多くの個人情報を預けている昨今。Appleによるプライバシー保護の取り組みの重要性はいっそう高まっています。

発売当初はガジェット好き以外には見向きもされなかったApple Watch。Google Glass(眼鏡型のウェアラブルデバイス)と並んで実用性の低い、使えないテクノロジーと見なす声が多く聞かれました。 

しかし、発売から8年近くが経った今、Apple Watchは一般的なアクセサリーとして確実に消費者に受け入れられています。けっして安い価格ではないにもかかわらず、18歳~79歳の日本人のおよそ10人に1人が利用しているのです 

その理由として、Apple Watchが iPhoneと簡単に同期できることや、日本でのiPhoneのシェアが6割を超えていることなどがあります。価格も、多くのApple製品と同じく「手の届く高級品」のような価格設定になっていることが考えられます  

Apple Watchが収集する情報 

  1. 健康状態 

Apple Watchを愛用する理由で最もよく挙げられるのが健康管理。Apple Watchの標準アプリ「フィットネス」を使うと、以下のデータを測定することができます。 

  • 立っている時間 
  • 日常生活における運動量(消費カロリー 
  • 運動時間

お使いのモデルに関係なく、これら3つの測定値がフィットネスアプリの基礎になります測定値はそれぞれ青、緑、赤の 3つの同心円状のリングで表示され、目標を達成するとリングが閉じるようになっています 

他にも、Apple Watchでは以下の項目を確認することができます。 

  • 歩行距離 
  • 上った階数 
  • トレンド(体の変化) 
  • 月経周期                                                     

一部のモデルでは、睡眠時間や血中酸素濃度まで確認できます。  

2. ユーザーが任意で提供する個人情報 

以下の個人情報は、Apple Watchに開示するかをユーザーが任意で決めることができます  

  • 名前 
  • 生年月日 
  • 性別 
  • 血液型 
  • 肌の色(フィッツパトリックのスキンタイプに基づいて判定) 
  • 車椅子の利用有無 
  • 心拍数に影響を与えうる薬の摂取 

Appleは、Apple Watchで収集したデータを研究機関との共同リサーチ「Apple Health Study」に活用しています。「リサーチ」アプリをダウンロードし、病歴、服用している薬、家族に関する情報や健康習慣などの情報を入力することで、研究にデータを提供することができます。 

 もちろん、Apple Watchの機能は健康管理だけではありません。お使いのモデルによって異なりますが、iPhoneと連動することで、メール、カレンダー、株式情報、天気予報、音楽、ポッドキャスト、通話、Apple Pay、マップ、チャットの通知といった機能を利用できるようになります。 

Appleのプライバシーポリシー 

Appleはユーザーから収集した情報を厳重に管理しています。Appleでは、ターゲティング広告を目的としたトラッキングやサードパーティーのウェブサイトのトラッキングは行っていません。また、ほとんどの場合、ユーザーは自らデータを削除できます。Appleは可能な限り自社サーバーを用いず、ユーザーのデバイス上でユーザーデータを処理しています。プライバシーポリシーも分かり易く記されており、第三者へのデータ共有も法律によって強制された場合か、「Apple Health Study」のようにユーザーが許可した場合のみ行われています 

ユーザーはAppleの製品を利用することで、クレジットカード情報位置情報、メールやチャットの内容、電話の記録、検索履歴など、多くの個人情報を企業に提供しています。さらに、身体情報や健康に関する個人情報の全てが、Apple Watchに保存されている状況を考えると、Appleのプライバシー保護の取り組みは非常に重要です。 

しかし、同社が実際にどのようなデータを収集しているのかに関する最近の調査を見ると、少し疑問が残ります。セキュリティ研究者が行った調査によると各ユーザーにはiCloudアカウントに関連付けられた識別子であるDSID(Directory Services Identifier)が割り当てられていますつまり、トラッキングの許可を求められて拒否を選んだ場合でも、理論的には依然としてすべてのデータを特定の個人に関する情報と関連付けることができます。 

ユーザーのプライバシー保護はAppleの取り組みにかかっており、これから同社がどのようにプライバシーポリシーを継続していくかを見守る必要があります。スマートウォッチなどのデバイスを利用する際は、ユーザーが個人情報を提供している事実を認識し、提供企業のプライバシーポリシーをしっかり確認しましょう。 

 

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