発売当初はガジェット好き以外には見向きもされなかったApple Watch。Google Glass(眼鏡型のウェアラブルデバイス)と並んで、実用性の低い、使えないテクノロジーと見なす声が多く聞かれました。
しかし、発売から8年近くが経った今、Apple Watchは一般的なアクセサリーとして確実に消費者に受け入れられています。けっして安い価格ではないにもかかわらず、18歳~79歳の日本人のおよそ10人に1人が利用しているのです。
その理由として、Apple Watchが iPhoneと簡単に同期できることや、日本でのiPhoneのシェアが6割を超えていることなどがあります。価格も、多くのApple製品と同じく「手の届く高級品」のような価格設定になっていることが考えられます。
Apple Watchが収集する情報
- 健康状態
Apple Watchを愛用する理由で最もよく挙げられるのが健康管理。Apple Watchの標準アプリ「フィットネス」を使うと、以下のデータを測定することができます。
- 立っている時間
- 日常生活における運動量(消費カロリー)
- 運動時間
お使いのモデルに関係なく、これら3つの測定値がフィットネスアプリの基礎になります。測定値はそれぞれ青、緑、赤の 3つの同心円状のリングで表示され、目標を達成するとリングが閉じるようになっています。
他にも、Apple Watchでは以下の項目を確認することができます。
- 歩行距離
- 上った階数
- トレンド(体の変化)
- 月経周期
一部のモデルでは、睡眠時間や血中酸素濃度まで確認できます。
2. ユーザーが任意で提供する個人情報
以下の個人情報は、Apple Watchに開示するかをユーザーが任意で決めることができます。
- 生年月日
- 性別
- 血液型
- 肌の色(フィッツパトリックのスキンタイプに基づいて判定)
- 車椅子の利用有無
- 心拍数に影響を与えうる薬の摂取
Appleは、Apple Watchで収集したデータを研究機関との共同リサーチ「Apple Health Study」に活用しています。「リサーチ」アプリをダウンロードし、病歴、服用している薬、家族に関する情報や健康習慣などの情報を入力することで、研究にデータを提供することができます。
もちろん、Apple Watchの機能は健康管理だけではありません。お使いのモデルによって異なりますが、iPhoneと連動することで、メール、カレンダー、株式情報、天気予報、音楽、ポッドキャスト、通話、Apple Pay、マップ、チャットの通知といった機能を利用できるようになります。
Appleのプライバシーポリシー
Appleはユーザーから収集した情報を厳重に管理しています。Appleでは、ターゲティング広告を目的としたトラッキングや、サードパーティーのウェブサイトのトラッキングは行っていません。また、ほとんどの場合、ユーザーは自らデータを削除できます。Appleは可能な限り自社サーバーを用いず、ユーザーのデバイス上でユーザーデータを処理しています。プライバシーポリシーも分かり易く記されており、第三者へのデータ共有も法律によって強制された場合か、「Apple Health Study」のようにユーザーが許可した場合のみ行われています。
ユーザーはAppleの製品を利用することで、クレジットカード情報、位置情報、メールやチャットの内容、電話の記録、検索履歴など、多くの個人情報を企業に提供しています。さらに、身体情報や健康に関する個人情報の全てが、Apple Watchに保存されている状況を考えると、Appleのプライバシー保護の取り組みは非常に重要です。
しかし、同社が実際にどのようなデータを収集しているのかに関する最近の調査を見ると、少し疑問が残ります。セキュリティ研究者が行った調査によると、各ユーザーにはiCloudアカウントに関連付けられた識別子であるDSID(Directory Services Identifier)が割り当てられています。つまり、トラッキングの許可を求められて拒否を選んだ場合でも、理論的には依然としてすべてのデータを特定の個人に関する情報と関連付けることができます。
ユーザーのプライバシー保護はAppleの取り組みにかかっており、これから同社がどのようにプライバシーポリシーを継続していくかを見守る必要があります。スマートウォッチなどのデバイスを利用する際は、ユーザーが個人情報を提供している事実を認識し、提供企業のプライバシーポリシーをしっかり確認しましょう。