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NFT(非代替性トークン)とは?#2

David Strom, 2021年5月13日

突然話題になった「NFT(非代替性トークン)」の問題点を見てみましょう。


【前編】NFT(非代替性トークン)とは?#1はこちら


前回は、NFTの用途をいくつか紹介しました。この記事では、NFT市場における課題について説明します。

デジタルアートの落札で注目を集めたNFT。デジタルアーティストの方々には、GitHubのNFT市場に関する記事を読むことをおすすめします。この記事では、NFTを利用したアート作品をどこで購入できるか、どのような仕組みで技術を組み合わせているかなど、NFTに関して詳細に説明されています。また、ティム・シュナイダー(Tim Schneider)が暗号アートの進化について執筆した記事では、4つの重要かつ未解決の問題が挙げられています。

  • 「所有」の定義
    NFTはライセンスや説明文を販売しているのであって、デジタルアートそのものを販売しているわけではありません。作品が保存されているホスティングプロバイダーに異常があった場合、あるいは、あなたのデジタルウォレットがサイバー脅威に遭ったら、購入したアートはどうなるのでしょう?

  • ゲートキーパー(キュレーターなど、価値のある作品と購入しそうな人を特定する人々)の未来
    ゲートキーパーは従来と同じように、少数の専門家集団が担うのでしょうか?それとも、NFTの台頭により彼等の影響力は分散し、アートの評価や購入のあり方が多様になっていくのでしょうか?容易で持続可能な技術を有するプラットフォームが定着し、より多元的なシステムが促進されるのか、注目されています。

  • コレクターの未来
    コレクターはこれまでと同様、少数の富裕層に限られるのでしょうか?購入者側の構造にも課題があり、ゲートキーパーとコレクターがどのように交流するかは、暗号化アートの成功を左右すると言われています。

  • 作品を再販された際の利益
    従来のシステムでは作品が再販された際、コレクターが利益を得ていました。一方、所有権を永久に追跡できる暗号ベースのシステムでは、アーティストが利益を得られると期待されています。ETHベースのスマートコントラクトを利用すれば、これを実現することができますが、現状ではほとんどの契約に再販・再配布の規定が記載されていません。Mint Fundはこの問題を別の方法で解決しようとしており、新しいアーティストに助成金を提供することで、クリエイターの多様化を実現しようとしています。

最後の点については、さらに議論を深める必要があります。例えばNFTアーティストのサラ・ルディ(Sara Ludy)はスマートコントラクトを利用し、彼女の既存の作品・将来の作品において、レベニューシェア(パートナー契約による利益配分)を締結しました。作品が売れた額の50%は彼女に、15%は彼女が選んだ暗号市場またはプラットフォームに、残りの35%は彼女のギャラリーのスタッフで等分されることになっています。つまり、作品の価格が高騰した場合、全員がその恩恵を受けるのです。前回紹介したChristie'sのNFT落札では、所有者にしか利益があがりませんでした。

NFTは、美術館での体験を向上するためにも利用されています。フランシス・リデル(Frances Liddell)はNFTを利用し、美術館に行った人の感想を収集、その情報を利用することで、さまざまな方法で美術館をPRしています。

筆者が初めて購入した作品は、1976年にウィリアム・クリフト(William Clift)が撮影した裁判所の写真のシリーズでした。何年も所有していたので、価値が上がっていたはずです。しかし、買い手が見つからず、美術館に寄贈することにしました。これらの写真は、ジャック・ドーシーのツイートのように、インターネットと寄付を証明する検索文字列があれば、誰でもすぐに見ることができます。これは、NFTが技術的に安定するまでにはまだ長い道のりがあること、そして、どのようなオークションでも、買い手と売り手の両方が必要であることを示しています。

デジタルアーティストのマイク・ウィンケルマンでさえ、NFTに納得していません。彼は次のように述べています。「正直言って、これはバブルだ。人々がNFTで入手したものの多くはガラクタであり、そのようなものは価値を維持できないだろう。」

この記事は2021年4月2日に公開されたA guide to NFTsの抄訳です。